家事が楽になる?ユーティリティを作る際に注意すべき点とは
日々の家事を効率化するためにユーティリティスペースを設ける家庭が増えています。しかし、ただスペースを作るだけでは使い勝手が悪くなることも。この記事では、家事を楽にするユーティリティの設計や配置のポイントについてくわしく解説します。計画段階で押さえるべき注意点を学び、快適で効率的な空間づくりを目指しましょう。
ユーティリティとはどんな部屋なのか
ユーティリティとは家事室とも呼ばれ、家庭内でさまざまな作業を効率的に行うための専用空間です。半世紀ほど前は、おもにお手伝いさんが家事をする部屋として認識されていましたが、20年ほど前からは主婦が使う空間として「家事室」という言葉が一般化しました。洗濯物を畳む、アイロンがけをする、ミシンを出して裁縫をするなど、家事を集中して行える場所として活用されてきたのです。
現在では「ユーティリティ」という名称で、洗濯関連の家事全般を行う場所として設計されることが増えています。また、家族全員が使える多目的スペースとしてのユーティリティの需要も高まっています。
ユーティリティの利点のひとつは、リビングやダイニングといったリラックス空間と作業空間を分けられる点です。たとえば、洗濯物をリビングで畳む場合、リビングにホコリが落ちたり、作業の跡が残ったりすることがあります。しかし、ユーティリティがあれば、家事作業をリビングから切り離し、より効率的かつ清潔に行えます。
このように、ユーティリティを作業専用の空間として活用することで、リビングを家族がくつろげる場として保ちつつ、作業に集中できる環境を整えられるのです。
必要な広さや設置に最適な場所を考えよう
ユーティリティは、効率よく作業を行うために重要な役割を果たします。ここでは、ユーティリティを作る際、どの程度の広さが必要なのか、またその設置場所にどのようなポイントを考慮すべきか解説します。
必要な広さ
まず、ユーティリティの広さについて考えてみましょう。洗面所や脱衣室、洗濯物を干すスペースを含めた最低限必要な広さは約4.5畳程度です。洗面所として1.5畳、脱衣室で洗濯機を設置する場所として1.5畳、そして洗濯物を干すためのスペースとしてさらに1.5畳が必要です。
洗濯物を効率よく干すためには、最低でも3畳の広さがあると、バーを2本設置し、家族4人分の洗濯物をゆとりを持って干すことができます。寝具などを洗濯しても、干すスペースに困ることなく、アイロンがけなどに必要なスペースを確保できるでしょう。
ユーティリティの設置場所について
ユーティリティの設置場所も非常に重要です。洗濯をメインにしたユーティリティの場合、洗面所や脱衣室から玄関とキッチンの両方にアクセスできる動線を設けると便利です。たとえば、玄関から直接脱衣室へアクセスできる動線を作ることで、外から帰宅した子どもが汚れた服を脱いで手を洗い、そのままほかの部屋へ移動でき、汚れを持ち込まずに済みます。
また、キッチンの近くに洗面室や脱衣室を配置することで、洗濯物を干したりアイロンがけをしながら、ほかの家事を同時にこなせる利便性も生まれるでしょう。一方で、ユーティリティに家族のクローゼットを設ける場合、キッチンとユーティリティが離れていても動線には問題がなくなります。
家事を効率よくこなすためには、水回りとキッチンが近いほうが便利だと思われがちですが、実際にはこれらを分けることで、各スペースを有効に使うことができる場合もあるのです。
ユーティリティを作る際に注意すべきポイント
ユーティリティは、用途が多岐にわたるため、設計段階で失敗すると、使い勝手が悪くなり、結局物置になってしまうこともあります。そこで、ユーティリティを作る際に注意すべきポイントを紹介します。
何をするかを明確に決めよう
まず、ユーティリティ作りでもっとも大切なのは何をするかを明確に決めることです。そもそも家事にはさまざまな種類があります。アイロンがけ、洗濯物の収納、掃除道具の保管、さらには家庭内での衣類の整理など、目的に応じて使用する道具や動線が異なります。
そのため、何をするためにユーティリティを設けるのかをしっかりと決め、作業のしやすい広さやレイアウトを計画することが重要です。たとえば、アイロンがけを中心に考えるのであれば、アイロン台をつねに使いやすい位置に配置すること、洗濯物をたたむ作業を重視するなら、広い作業スペースを確保することが求められます。
動線の集約
ユーティリティは、ほかの部屋との連携が重要です。たとえば、浴室、洗面室、バルコニーをつなげて配置し、洗濯に関する動線を集約すれば、洗濯から乾燥、収納までをスムーズに行えます。このように、洗う、干す、たたむといった作業が一連の流れで完結できる設計にすることで、家事効率が大きく向上します。
また、ユーティリティをウォークインクローゼットと近接させて、洗濯物をすぐに収納できるようにすると、さらに利便性が高くなります。アイロン台や洗濯洗剤、タオル類などの収納も重要で、使いたいときにすぐに取り出せるようにしておくことが、ユーティリティの利便性を大きく高めます。
設備関連
アイロンがけや除湿機などの家電を使う場合、コンセントが充分に確保されていることが大切です。コンセントを多めに設置することで、家電が増えた場合にも対応できます。
また、洗濯物を干すスペースとして利用する場合は、換気が重要です。湿気がこもらないように、窓を適切に配置することや換気扇を設置することが必要です。さらに、家事をしている最中のストレスを軽減するために、照明や冷暖房設備の設置も考慮しましょう。
まとめ
ユーティリティは家事や仕事を効率化し、家庭内の空間をより快適に保つための重要な部屋です。使い勝手のよいユーティリティを作るためには、何をする場所かを明確にし、動線や設備の配置、換気・照明の配慮を行うことが重要です。これらのポイントを押さえることで、日々の家事がより楽しく、効率的に行えるようになります。家づくりを考える際には、家族全員のニーズを反映したユーティリティの設計を検討してみてはいかがでしょうか。